The woman at two p.m.





 パンネロは早足で歩きながら、ある一点に意識を集中させていた。それは彼女の勤める編集社から最寄の駅のそばの本屋である。

(…あ)

横目で店内を見ながら通り抜けた。その店は日本全国どこにでもあるようなありふれたものだった。なぜ彼女は、そんなものに意識をとられているのか。実は、彼女が気にしているのは店自体ではない。

(今日も、いた)

気になる人物がいるのだ。彼女の頬がすこし上気した気がした。